矛盾

「もしおれが月を手に入れていたら、もし愛だけで充分だったら、すべては変わっているだろう。
この渇きをどこで癒せばいい。どんな心、どんな神が、湖の深さをたたえているのか?」
(カミュ「カリギュラ」より)

月が登場する物語、第三回目。
カミュのこの戯曲のせいで、どうしてもカリギュラには月のイメージがつきまといます。
言うまでもなく、カリギュラの甥がやはり暴君の呼び声高いネロです。
そもそも、ユリウス・クラウディウス朝というのは皇帝が5人しかいないのに、うち3人がかなりアレな皇帝で、しかも初期は3人とも善政を行っていたからよけい始末に負えません。(4人目は頭角を現したり暴君になったりする前に毒殺されてしまったので、あるいは他の3人を上回る暴君になっていた可能性もないとは言えません。)
100年足らずの間に3人も史上稀に見る暴君を輩出しているのに、懲りもせずにまたまた皇帝を擁してしまうローマ市民って、どれだけM体質なのかと思います。
続く皇帝たちもたいがいなもので、ローマ市民の我慢強さには頭が下がります。1年の間に3回も皇帝が変わるということもありましたねえ、暗殺されたり暗殺されたりして。我慢の甲斐があって、のちに5賢帝と呼ばれる人たちがでてくるわけですが。
そうして見ると、皇帝の圧政に散々苦しめられて、やっと革命を起こして皇帝を倒したら、今度はレーニンとかいう独裁者が出てきて、ペレストロイカでやっと社会主義が崩壊したかと思ったらまた大統領という名の独裁者が現れて、というロシアの独裁者好きも大したものです。
つくづく、世の中は矛盾に満ちたものだと思います。
そういえば、ロマノフ王朝とローマの間にも因縁めいたものがありましたね。ロシアの紋章も東西ローマを表した双頭の鷲でした。

ところで、高いところが好きなせいで、実は極度の高所恐怖症なのにあまり同情されなくて困っています。
どのくらい高所が苦手かというと、まず、歩道橋は歩けません。電車のホームでも足ががくがくします。屋上なんて、とんでもないです。崖の上で犯人が告白しているのをテレビで見るだけで眩暈がします。なので、2時間サスペンス・ドラマは見ません。
でも、ガラス張りならどんなに高いところでも、足元に奈落が広がっていようと平気です。ガラスが割れない限りは。
そんなわけで、高いところに行ってきました。

夜景

東京タワーが下に見えます。
月並みですが、地上の光がまるで宝石箱をひっくり返したよう。
あー、やっぱり高いとこ好きですー。でも、やっぱり怖いです。
決して高所恐怖症を克服したわけではありません。
そもそも、高さというのは絶対的なものではないので、月に誰か住んでいたら、地球人を見てあんなに高いところにへばりついて怖くないのかと思うかもしれません。

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