原VS江川VS米川VS亀山

勘のいい方は「原VS江川」ですでに気づいていると思いますが、そうです、亀山氏が「カラマーゾフの兄弟」の訳を出した時から一度やりたかった各氏の訳の読み比べ。
原氏と米川氏は読んだことがあるので、今回江川氏と亀山氏を初見、どきどき。

カラマーゾフたち

左上から時計回りに江川卓訳、原書、米川訳、亀山訳、原訳です。

では、行きまーす。
原文がこれです。
КНИГА ПЕРВАЯ. История одной семейки.
I. ФЕДОР ПАВЛОВИЧ КАРАМАЗОВ.
Алексей Федорович Карамазов был третьим сыном помещика нашего уезда Федора Павловича Карамазова, столь известного в свое время (да и теперь еще у нас припоминаемого) по трагической и темной кончине своей, приключившейся ровно тринадцать лет назад и о которой сообщу в своем месте.

では、まずはグーグルの翻訳から。
BOOK ONE。
1つの家族の歴史。
I.フョードル•カラマーゾフPavlovich。
アレクセイFyodorovichカラマーゾフはフョードルPavlovichカラマーゾフの私たちの地区の地主の三男であった時間(そして今でも、我々はまだリコール)と闇の悲劇的な死で知られているように、正確に13年前に起こった、正しい場所に報告した。

米川正夫訳 1957年2月5日改版
第一篇 ある一家族の歴史
第一 フョードル・カラマーゾフ
 アレクセイ・カラマーゾフは、本郡の地主フョードル・パーヴロヴィッチ・カラマーゾフの三番目の息子である。このフョードルは今から十三年前に奇怪な悲劇的な死を遂げたため、一時(いや、今でもやはり町でときどき噂が出る)なかなか有名な男であった。しかし、この事件は順序を追って後で話すこととして、

原卓也訳 昭和53年4月20日初版
第一編 ある家族の歴史
一 フョードル・パーヴロヴィチ・カラマーゾフ
 アレクセイ・フョードロヴィチ・カラマーゾフは、今からちょうど十三年前、悲劇的な謎の死をとげて当時たいそう有名になった(いや、今でもまだ人々の口にのぼる)この郡の地主フョードル・パーヴロヴィチ・カラマーゾフの三男であった。この悲劇的な死に関しては、いずれしかるべき個所でお話することにする。

江川卓訳 昭和50年11月25日初版
第一編 ある一家の由来
一 フョードル・カラマーゾフ
 アレクセイ・フョードロヴィチ・カラマーゾフは、私たちの郡の地主フョードル・パーヴロヴィチ・カラマーゾフの三男に生まれた。父のフョードルは、いまからちょうど十三年前、悲劇的な謎めいた最期をとげたことで、一時はなかなか評判になった(いや、いまでも当地ではまだ噂にのぼる)男だが、その事件のことはいずれしかるべき場所でお話ししたい。

亀山郁夫訳 2006年9月20日初版
第1編 ある家族の物語
1 フョードル・パーヴロヴィチ・カラマーゾフ
 アレクセイ・カラマーゾフは、この郡の地主フョードル・カラマーゾフの三男として生まれた。父親のフョードルは、今からちょうど十三年前に悲劇的な謎の死をとげ、当時はかなり名の知られた人物だった(いや、今でも人々の噂にのぼることがある)。しかし、そのいきさつについてはいずれきちんとしたところでお話しすることにし、

原文に一番近いのは、句読点の数に関する限りでは、グーグルの翻訳が圧勝です。
元の文が長いだけに、二つに分けたり、三つに分けて次の文と合体させるなど、翻訳は大変みたいです。
訳している人がちがうと犯人も違うのかな~。なわけないか。
面白いのが、小見出しのИстория одной семейкиを4人とも違う訳をしていて、文中のо которойを米川氏と江川氏が「事件」、原氏が「悲劇的な死」、亀山氏が「そのいきさつ」と訳していること。
историяは英語のhistoryに当たる単語なので、原氏の「ある家族の歴史」という訳が好きです。
о которойは、その直前で文章を切っているので、読者のためにわざわざ説明する必要があったからでしょうけれど、翻訳する方たちの苦労には本当に頭が下がります。
逆に()の中を全員同じように訳しているのも興味深いです。
それにしても、こんな読み方してたら返却期限までに読み終わりそうもありません。

にほんブログ村 美術ブログ 創作人形(美術)へ
にほんブログ村
にほんブログ村 コレクションブログ 球体関節人形へ
にほんブログ村
 
 

コメント

「カラマーゾフの兄弟」は、米川氏の翻訳のものを高校時代に読んだのですが、私には難しすぎて、とかく読むのに精一杯で、内容はほどんど頭に入って来ませんでしたi-238。同時進行で読んでいたツルゲーネフの「はつ恋」の方が読み易くて、当時は好きだった覚えがあります。あれからだいぶ月日も流れた事ですし、いん子さんのブログで丁寧に紹介されている縁もあって、近々カラマーゾフに再チャレンジしてみたいと思います。しかしいん子さんのロシア文化への造詣の深さには驚きです。ロシア語も読めるなんて……英語でさえいっぱいいっぱいの私は、本当に頭が下がります><。

米川訳で挫折したのなら、原訳が読みやすいと思います。
亀山先生の訳は文が平易で読みやすいのかもしれませんが、なんというか、文章が上滑りする感じ。何故その訳?という部分も多いです。
亀山先生が訳したのをロシア語を知らない人が書き直してるという説もありますが、案外本当かも。
「カラマーゾフの兄弟」は中学の時に米川氏の訳で読んでハマりました。
19世紀のロシア文学の中ではドストエフスキーの作品はエンターティメント性が強いと思います。
なので、トルストイは苦手で、ツルゲーネフもほとんど読んでいません。
ロシア語はひと通り習ったのですけど、覚えた時の100倍のスピードで忘れましたね。

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://inkodoll.blog.fc2.com/tb.php/91-6f18d98f